中唐・韓愈
晩菊
晩菊
少年飲酒時 踊躍見菊花
今来不復飲 每見恒咨嗟
佇立摘満手 行行把帰家
此時無与語 棄置奈悲何
少年 飲酒時
少年(若い頃) 酒を飲む時
踊躍 見菊花
踊躍(飛び跳ねる)して 菊花を見る
今来 不復飲
今来(現在) 復た飲まず
每見 恒咨嗟
見る毎に 恒に咨嗟(ため息)す。
佇立 摘満手
佇立して 摘みて手に満ち
行行 把帰家
行き行きて 把りて家に帰る
此時 無与語
此の時 与に語る無く
棄置 奈悲何
棄て置きて 悲しみを奈何せん
晩菊(晩秋に咲く菊花)
少年(若い頃)
踊躍(興に乗じて飛び跳ねる)
今来(現在)
不復飲(再び酒は飲まない)
咨嗟(ため息をつく)
摘満手(手にいっぱい摘んで)
行行(止まらずに進むさま)
無与語(一緒に語り合うことがない)
棄置(捨ておき顧みない)
奈悲何(悲しみをどうしたらよいか)
※「奈何」は疑問詞。目的語をとる場合には、中間に挟む。
※重陽の節句には、茱萸(しゅゆ、カワハジカミ、グミ)を身に帯び、高所に登り菊酒を飲む風習があった。
【訓読】晩菊
少年 酒を飲む時
踊躍して菊花を見る
今来 復た飲まず
見る毎に恒に咨嗟す。
佇立して 摘みて手に満ち
行き行きて 把りて家に帰る
此の時 与に語る無く
棄て置きて 悲しみを奈何せん
【和訳】晩菊
若い時には酒を飲みつつ、
興に乗じて菊花を愛でたものだ。
この頃は酒も飲めなくなり、
花を見てもため息ばかりが出る。
立ち止まって花を見ては手にいっぱい摘みとり、
進みすすんで、わが家に持って帰る。
この時、花に語りかけるも返事はなく、
時が移ろう悲しみをどうしたらよいものか。
NHKカルチャーラジオ
漢詩をよむ 2022/10-2023/03
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