盛唐・王昌齢
送魏二
魏二を送る
酔別江楼橘柚香 江風引雨入舟涼
憶君遥在瀟湘月 愁聴清猿夢裏長
酔別江楼橘柚香
江楼に酔別せんとすれば 橘柚香し
江風引雨入舟涼
江風 雨を引き 舟に入りて涼し
憶君遥在瀟湘月
君を憶えば 遥かに瀟湘(瀟水と湘水)の月に在りて
愁聴清猿夢裏長
愁え聴かん 清猿(澄んだ猿の鳴き声)の夢裏に長きを
送(送別する)
魏二(魏は姓。二は排行)
酔別(酒に酔って送別する)
江楼(長江に面した楼閣)
橘柚香(ミカンが芳しく香る)
江風(長江上を吹き渡る風)
引雨(雨を伴う)
憶君(君を思い出す)
瀟湘月(瀟水と湘水が合流する付近の月)
愁聴(悲しく耳を傾ける)
清猿(澄んだ猿の鳴き声)
夢裏長(夢の中で長く響く猿声を聞く)
【訓読】魏二を送る
江楼に酔別せんとすれば 橘柚香し
江風 雨を引き 舟に入りて涼し
君を憶えば 遥かに瀟湘の月に在りて
愁え聴かん 清猿の夢裏り長きを
【和訳】魏二を見送る
長江沿いの楼閣で、酒を仰いで別れようとすれば柑橘が芳しく、
舟に入り込む風は、川面を渡り雨を伴って涼しい。
別れて後、君を思い起こす時、瀟湘にあって月の光を浴びながら、
旅愁の夢の中に、澄み切った猿の声が長く響くのを聞いているであろう。
NHKカルチャーラジオ
漢詩をよむ 2022/10-2023/03
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