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Tuesday, 8 November 2022

【許渾】秋晩懐茅山石涵村舎

 

晩唐・許渾

秋晩懐茅山石涵村舎

(あき)(ばん)茅山(ぼうざん)石涵(せきかん)村舎(そんしゃ)(おも)

 

十畝山田近石涵 村居風俗旧曽諳

簾前白艾驚春燕 籬上青桑待晩蚕

雲暖採茶来嶺北 月明沽酒過渓南

陵陽秋尽多帰思 紅樹蕭蕭覆碧潭

 

十畝山田 近石涵

十畝(じっぽ)山田(さんでん)

石涵(せきかん)(石製の貯水池)(ちか)

村居風俗 旧曽諳

村居(そんきょ)(村里の暮らし)風俗(ふうぞく)

()(かつ)(そら)んず

簾前白艾 驚春燕

簾前(れんぜん)白艾(はくがい)(植物名。シロヨモギ)

春燕(しゅんえん)(おどろ)かし

籬上青桑 待晩蚕

籬上(りじょう)青桑(せいそう)(春の桑葉)

晩蚕(ばんさん)(夏のカイコ)()たしむ

雲暖 採茶来嶺北

(くも)(あたたか)く (ちゃ)()らんとして嶺北(れいほく)(きた)

月明 沽酒過渓南

(つき)(あか)るく (さけ)()わんとして渓南(けいなん)()

陵陽 秋尽多帰思

陵陽(りょうよう)(山名。安徽省池州市石台県)

(あき)()き 帰思(きし)(望郷の念)(おお)

紅樹 蕭蕭覆碧潭

紅樹(こうじゅ)(紅葉した樹木)

蕭蕭(しょうしょう)として(落葉するさま)

碧潭(へきたん)(緑色の淵)(おお)

 

茅山(山名。江蘇省鎮江市)

石涵(石でこしらえた貯水池)

村舎(農家)

十畝(面積の単位。約5.8a

山田(山中のたんぼ)

村居(村里の暮らし)

風俗(風習。ならわし)

旧曽諳(以前はよく知っていた)

白艾(植物名。シロヨモギ)

春燕(春のツバメ)

籬上(垣根の付近)

青桑(青々としたクワの葉)

晩蚕(夏のカイコ)

採茶(茶摘み)

陵陽(山名。安徽省池州市石台県)

帰思(望郷の気持ち)

紅樹(紅葉した樹木)

蕭蕭(葉が落ちるさま)

碧潭(緑色の淵)

 

【訓読】秋の晩に茅山の石涵村舎を懐う

十畝の山田 石涵に近く

村居の風俗 旧と曽て諳んず

簾前の白艾 春燕を驚かし

籬上の青桑 晩蚕を待たしむ

雲暖く 茶を採らんとして嶺北に来り

月明るく 酒を沽わんとして渓南を過ぐ

陸陽 秋尽き 帰思多く

紅樹 蕭蕭として碧潭を覆う

 

【和訳】秋の日暮れに茅山の石涵の村を思い出して

山中にある十畝の田は、石涵の村にほど近く、

以前は村の風習もよく知っていた。

簾の前に生える白艾(しろよもぎ)は、春の燕を驚かし、

垣根の付近の桑を夏の蚕に食べさせる。

雲が暖かい昼間に茶を摘みに嶺の北に登り、

月明かりのもとを酒を求めて谷川の南を行く。

宣城の山の秋は終わり、郷愁がひときわ募り、

落ち葉がはらはら落ちて緑の淵を覆いつくす。

 

NHKカルチャーラジオ

漢詩をよむ 2022. 4-9

 

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