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Friday, 4 November 2022

【陸游】舎傍晩歩

 

南宋・陸游

舎傍晩歩

 

蒲団 初起定

蒲団(ふとん) (はじ)めて()きて(さだ)まり

藤杖 偶閑行

藤杖(とうじょう) (たま)たま(しず)かに()

 

鳥語 如相命

(とり)(かた)るや (あい)(めい)ずるが(ごと)

魚浮 忽自驚

(うお)()くや (たちま)(みずか)(おどろ)

 

麦苗 経雨緑

(ばく)(びょう) (あめ)()(みどり)なり

楓葉 得霜赬

(ふう)(よう) (しも)()(あか)

 

野老 淳風在

野老(やろう) 淳風(じゅんぷう)()

悠然 不送迎

悠然(ゆうぜん)として 送迎(そうげい)せず

 

舎傍(家の周辺)

晩歩(夕方の散歩)

蒲団(ガマの葉で作った敷物)

藤杖(フジの蔓でこしらえた杖)

鳥語(鳥の鳴き声)

魚浮(魚が泳ぐ)

麦苗(ムギの苗)

赬(赤色)

野老(田舎の老人)

淳風(純朴な習俗)

悠然(ゆったりとしているさま)

 

夕方の散歩

敷物より起き上がり、

藤の杖を頼りに散歩に出る。

鳥はまるで私に命令するように鳴き、

魚は何かに驚いて跳ねているようだ。

麦の苗は雨に洗われて緑を濃くし、

楓(ふう)の葉は霜が降りていっそう赤色を増す。

泰然自若として送り迎えさえしない。

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