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Friday, 18 November 2022

【于武陵】友人南遊不回因而有寄

 

晩唐・于武陵

友人南遊不回因而有寄

友人(ゆうじん)南遊(なんゆう)して(かえ)らず、()りて()する()

 

相思春樹緑千里亦依依

杜月頻満 瀟湘人未帰

桂花風半落 煙草蝶双飛

一別無消息 水南車跡稀

 

相思 春樹緑

相思(そうし) 春樹(しゅんじゅ)(みどり)なり

千里 亦依依

千里(せんり) ()依依(いい)たり(なごり惜しい)

 月頻満

(こと)(中国北方) (つき) (しき)りに()

瀟湘 人未帰

瀟湘(しょうしょう)(中国南方) (ひと) (いま)(かえ)らず

桂花 風半落

桂花(けいか)(モクセイの花) (かぜ) (なか)()

煙草 蝶双飛

煙草(えんそう)(靄たつ草原) (ちょう) (なら)()

一別 無消息

(ひと)(わか)れて 消息(しょうそく)()

水南 車跡稀

水南(すいなん) 車跡(しゃせき)(まれ)なり

 

南遊(南方に旅に出る)

寄(遠くにいる人にものを送る)

相思(相手のことを思う)

春樹緑(春の樹木が緑を増す)

千里(遠い距離。一里は600m)

依依(なごり惜しく思うさま)

県と杜陽県。中国北方の象徴)

瀟湘(瀟水と湘水。中国南方の象徴)

桂花(モクセイの花)

煙草(靄の立ちこめる草原)

無消息(便りがない)

水南(水郷地帯の南方)

車跡(車輪の跡)

 

【訓読】友人南遊して回らず、因りて寄する有り

相思 春樹緑なり

千里 亦た依依たり

 月 頻りに満ち

瀟湘 人 未だ帰らず

桂花 風 半ば落ち

煙草 蝶 双び飛ぶ

一たび別れて 消息無く

水南 車跡稀なり

 

【和訳】友人は南方に出かけて帰らない、そこで詩を贈る

君のことを思うと、春の木々は緑を増し、

遠く離れていてもなごりは尽きない。

北方の付近の月は、幾度も満ち欠けを繰り返し、

南方の瀟湘へ出かけた人は、戻ってこない。

モクセイの花は、秋風によって半ば散り落ち、

靄の立ちこめる草原では、二羽の蝶が飛び交う。

一旦別れてしまうと、その後の便りもなく、

水郷の南に、軌跡を追うこともできない。

 

NHKカルチャーラジオ

漢詩をよむ 2022/10-2023/03

 

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