金・劉著
伯堅恵新茶 其一
伯堅 新茶を恵む 其の一
建渓玉餅号無双 双井為奴日鋳降
忽聴松風翻蟹眼 却疑春雪落寒江
建渓玉餅 号無双
建渓(銘茶の産地)の
玉餅(葉を餅のように固めた茶。団茶)は
無双と号す
双井為奴 日鋳降
双井(洪州双井産の茶)は奴と為り
日鋳(浙江省紹興市の茶)は降る
忽聴 松風翻蟹眼
忽ち聴く
松風の蟹眼(沸騰する泡)を翻すを
却疑 春雪落寒江
却って疑う 春雪の寒江に落つるかと
伯堅(人名)
恵新茶(新茶を贈られる)
建渓(銘茶の産地。福建省閩江の源流)
玉餅(葉を餅のように固めた茶。団茶)
無双(比類がない)
双井(洪州双井産の茶)
日鋳(浙江省紹興市にある山名。そこで産出する茶の銘柄)
翻蟹眼(湯の沸騰につれて立つ泡を蟹の目に比喩した)
【訓読】伯堅 新茶を恵む 其の一
建渓の玉餅は無双と号す
双井は奴と為り 日鋳は降る
忽ち聴く 松風の蟹眼を翻すを
却って疑う 春雪の寒江に落つるかと
【和訳】伯堅より新茶を恵贈される その一
建渓の玉餅は天下に比類なき銘茶の誉れ高く、
名にし負う双井も下位に甘んじ、日鋳も降参である。
湯が蟹の目のような泡を立てて沸騰すると、松風のような声が聞こえ、
茶を湯に投ずると、春の雪が冬の川に舞い落ちるかと疑うほどだ。
NHKカルチャーラジオ
漢詩をよむ 2022. 4-9
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