盛唐・李白
秋登宣城謝朓北楼
秋 宣城の謝朓の北楼に登る
江城如画裏 山暁望晴空
両水夾明鏡 双橋落彩虹
人煙寒橘柚 秋色老梧桐
誰念北楼上 臨風懐謝公
江城如画裏
江城 画裏の如く
山暁望晴空
山暁けて 晴空を望む
両水夾明鏡
両水 明鏡を夾み
双橋落彩虹
双橋 彩虹を落とす
人煙寒橘柚
人煙 橘柚寒く
秋色老梧桐
秋色 梧桐(アオギリ)老ゆ
誰念北楼上
誰か念わん 北楼の上
臨風懐謝公
風に臨んで 謝公(南朝斉・謝朓)を懐わんとは
宣城(地名。安徽省宣城市)
謝朓北楼(南朝斉・謝朓が宣城の北に立てた楼閣)
江城(長江沿いの街。宣城を指す)
如画裏(絵画の中のようである)
山暁(山の明け方)
晴空(晴れ渡った空)
両水(宛渓と勾渓の2つの川)
夾明鏡(曇りのない鏡のようである)
双橋(2つの橋。鳳凰橋と済川橋)
落彩虹(虹を渡したようである)
人煙(人が炊ぐ煙)
橘柚(柑橘の類。ミカンとユズ)
秋色(秋の気配)
梧桐(アオギリ。落葉高木)
誰念(誰も思わない。反語)
謝公(南朝斉の詩人・謝朓)
【訓読】秋 宣城の謝朓の北楼に登る
江城 画裏の如く
山暁けて 晴空を望む
両水 明鏡を夾み
双橋 彩虹を落とす
人煙 橘柚寒く
秋色 梧桐老ゆ
誰か念わん 北楼の上
風に臨んで 謝公を懐わんとは
【和訳】秋に謝朓が宣城に建てた北楼に登って
宣城の街はまるで絵画に描かれたような美しさ、
山の明け方に晴れた空を望み見る。
二本の川が曇りのない鏡のように街を夾み、
二つの橋が七色の虹を渡したように架かる。
人の炊ぐ煙が上って、柑橘類が寒く感じられ、
秋の気配の深まりに、梧桐(あおぎり)が木の葉を落とす。
いったい誰が思い至るだろうか、未来の人が、
いま私が北楼の上で風に吹かれて、謝朓を懐かしんでいることを。
NHKカルチャーラジオ
漢詩をよむ 2022/10-2023/03
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