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Thursday, 1 December 2022

【司空図】紅茶花

 

晩唐・司空図

紅茶花

(くれない)茶花(ちゃか)

 

景物詩人見即誇 豈憐高韻説紅茶

牡丹枉用三春力 開得方知不是花

 

景物詩人見即誇

景物(けいぶつ) 詩人(しじん) ()れば(すなわ)(ほこ)るも

豈憐高韻説紅茶

(あに)(あわ)れまん 高韻(こういん)(上品な) 紅茶(こうちゃ)(紅いツバキ)()

牡丹枉用三春力

牡丹(ぼたん) ()三春(さんしゅん)(孟春・仲春・季春)(ちから)(もち)

開得方知不是花

(ひら)()るも (はじ)めて()る ()(はな)ならずと

 

紅茶花(紅いツバキの花)

景物(四季折々の風景)

見即誇(すぐれた風景を見れば称賛する)

豈憐(悲しむことはない。反語)

高韻(上品なさま)

牡丹(ボタン。花の王とされる)

枉用(むりやり~を使う)

三春力(春の力)

開得(開花できる)

方知(初めて知った)

不是(~ではない)

 

※「三春」とは、孟春・仲春・季春。

※ツバキは元々、日本および朝鮮半島原産。ふるく中国では「海石榴(かいせきりゅう)」と呼ばれたが、海からきた石榴(ザクロ)という伝承による。

 

【訓読】紅の茶花

景物 詩人 見れば即ち誇るも

豈に憐れまん 高韻 紅茶を説く

牡丹 枉げて三春の力を用い

開き得るも 方めて知る 是れ花ならずと

 

【和訳】紅の山茶

詩人は優れた風景を称賛したがるが、

雅やかな趣と言えば、山茶の花ではないだろうか。

牡丹の花は、春の力をむりやり借りているだけで、

花を開かせた所で、それは花とは言えないだろう。

 

NHKカルチャーラジオ

漢詩をよむ 2022/10-2023/03

 

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