晩唐・司空図
紅茶花
紅の茶花
景物詩人見即誇 豈憐高韻説紅茶
牡丹枉用三春力 開得方知不是花
景物詩人見即誇
景物 詩人 見れば即ち誇るも
豈憐高韻説紅茶
豈に憐れまん 高韻(上品な) 紅茶(紅いツバキ)を説く
牡丹枉用三春力
牡丹 枉げて三春(孟春・仲春・季春)の力を用い
開得方知不是花
開き得るも 方めて知る 是れ花ならずと
紅茶花(紅いツバキの花)
景物(四季折々の風景)
見即誇(すぐれた風景を見れば称賛する)
豈憐(悲しむことはない。反語)
高韻(上品なさま)
牡丹(ボタン。花の王とされる)
枉用(むりやり~を使う)
三春力(春の力)
開得(開花できる)
方知(初めて知った)
不是(~ではない)
※「三春」とは、孟春・仲春・季春。
※ツバキは元々、日本および朝鮮半島原産。ふるく中国では「海石榴(かいせきりゅう)」と呼ばれたが、海からきた石榴(ザクロ)という伝承による。
【訓読】紅の茶花
景物 詩人 見れば即ち誇るも
豈に憐れまん 高韻 紅茶を説く
牡丹 枉げて三春の力を用い
開き得るも 方めて知る 是れ花ならずと
【和訳】紅の山茶
詩人は優れた風景を称賛したがるが、
雅やかな趣と言えば、山茶の花ではないだろうか。
牡丹の花は、春の力をむりやり借りているだけで、
花を開かせた所で、それは花とは言えないだろう。
NHKカルチャーラジオ
漢詩をよむ 2022/10-2023/03
No comments:
Post a Comment