晩唐・杜牧
斉安郡中偶題二首 其二
斉安郡中にて偶たま題す二首 其の二
秋声無不攪離心 夢沢蒹葭楚雨深
自滴階前大梧葉 干君何事動哀吟
秋声無不攪離心
秋声 離心を攪さざるは無く
夢沢蒹葭楚雨深
夢沢の蒹葭に 楚雨深し
自滴階前大梧葉
自ずから滴る 階前の大梧葉
干君何事動哀吟
君の何事に干わりて 哀吟を動かせる
斉安郡中(黄州の官舎)
偶題(思いつくままに詩歌を作る)
秋声(秋季における自然の音)
攪(乱す)
離心(旅愁)
夢沢(雲夢の沢、うんぼうのたく)
蒹葭(水草のオギとアシ)
楚雨(楚の国に降る雨)
階前(階段付近)
大梧葉(大きなアオギリの木)
干君何事(君とどんな関係がある)
哀吟(悲しい歌声。ここでは雨の音)
【訓読】斉安郡中にて偶たま題す二首 其の二
秋声 離心を攪さざるは無く
夢沢の蒹葭に 楚雨深し
自ずから滴る 階前の大梧葉
君の何事に干わりて 哀吟を動かせる
【和訳】斉安郡の官舎にて思いつくままに二首 その二
秋季の音は、どれも望郷の念をかき立てるものばかり、
雲夢(うんぼう)の沢(たく)のオギとアシに、楚の国の雨が冷たく降り続く。
階段付近のアオギリの大木の葉に雨が音を立てて滴り、
雨よ、君とどんな関わりがあって、悲しい歌声を響かせるのか。
NHKカルチャーラジオ
漢詩をよむ 2022/10-2023/03
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