中唐・戴叔倫
梧桐
梧桐
亭亭南軒外 貞幹修且直
広葉結青陰 繁花連素色
天資韶雅性 不愧知音識
亭亭南軒外
亭亭たる(高く聳える) 南軒の外
貞幹修且直
貞幹(まっすぐな幹) 修く且つ直なり
広葉結青陰
広葉 青陰を結び
繁花連素色
繁花 素色(白色)を連ぬ
天資韶雅性
天資(天賦の才) 雅性を韶ぎ
不愧知音識
知音(※参照)の識るを愧ぢず
梧桐(アオギリ)
亭亭(高く聳えるさま)
南軒(南側の軒)
貞幹(まっすぐな幹)
広葉(幅広い葉)
青陰(緑の木陰)
繁花(満開の花)
素色(白色)
天資(生まれつきの才)
韶(継承する)
雅性(雅楽を奏でる性質)
知音(心の底まで理解し合った友)
※「知音」とは以下の典故による。
春秋時代、鍾子期(しょうしき)は伯牙(はくが)の弾く琴の音色で、伯牙の心境を理解した。鍾子期が死ぬと、白牙はもはや我が琴の音を知る者はいないと琴の弦を切って二度と演奏しなかった。
【訓読】梧桐
亭亭たる 南軒の外
貞幹 修く且つ直なり
広葉 青陰を結び
繁花 素色を連ぬ
天資 雅性を韶ぎ
知音の識るを愧ぢず
【和訳】梧桐
南の窓辺にすっくと聳え、
幹は長く、かつまっすぐに伸びる。
大きな葉は、緑の木陰を広げ、
花は満開で白色を連ねる。
持って生まれた性質は雅楽を奏でる伝統を継ぎ、
琴の音を聞き分けた「知音」に恥じることもない。
NHKカルチャーラジオ
漢詩をよむ 2022/10-2023/03
No comments:
Post a Comment