『菜根譚』洪自誠
前集 001-005
1
棲守道徳者、寂寞一時。
依阿権勢者、凄凉万古。
達人観物外之物、思身後之身。
寧受一時之寂寞、毋取万古之凄凉。
道徳に棲守する者は、一時に寂寞たるも、
権勢に依阿する者は、万古に凄凉たり。
達人は物外の物を観じ、身後の身を思う。
寧ろ一時の寂寞を受くるも、万古の凄凉を取ること毋れ。
道徳に棲守する者は、一時に寂寞たるも、
権勢に依阿する者は、万古に凄凉たり。
達人は物外の物を観じ、身後の身を思う。
寧ろ一時の寂寞を受くるも、万古の凄凉を取ること毋れ。
2
渉世浅、点染亦浅、歴事深、機械亦深。
故君子与其練達、不若朴魯。
与其曲謹、不若疎狂。
世を渉ること浅くば、点染も亦浅く、
事を歴ること深くば、機械も亦深し。
故に君子は、その練達ならんよりは、朴魯なるに若かず、その曲謹ならんよりは、疎狂なるに若かず。
世を渉ること浅くば、点染も亦浅く、
事を歴ること深くば、機械も亦深し。
故に君子は、その練達ならんよりは、朴魯なるに若かず、その曲謹ならんよりは、疎狂なるに若かず。
3
君子之心事、天青日白、不可使人不知。
君子之才華、玉韜珠蔵、不可使人易知。
君子の心事は、天青く日白く、人をして知らざらしむべからず。
君子の才華は、玉韜め、珠蔵し、人をして知り易からしむべからず。
君子の心事は、天青く日白く、人をして知らざらしむべからず。
君子の才華は、玉韜め、珠蔵し、人をして知り易からしむべからず。
4
勢利紛華、不近者為潔。
近之而不染者為尤潔。
近之而不染者為尤潔。
智械機巧、不知者為高。
知之而不用者為尤高。
知之而不用者為尤高。
勢利紛華は、近づかざる者を潔しと為し、之に近づけども染まらざる者を尤も潔しとなす。
智械機巧は、知らざる者を高しと為し、之を知れども用いざる者を尤も高しと為す。
勢利紛華は、近づかざる者を潔しと為し、之に近づけども染まらざる者を尤も潔しとなす。
智械機巧は、知らざる者を高しと為し、之を知れども用いざる者を尤も高しと為す。
5
耳中常聞逆耳之言、
心中常有払心之事、
纔是進徳修行的砥石。
心中常有払心之事、
纔是進徳修行的砥石。
若言言悦耳、事事快心、
便把此生埋在鴆毒中矣。
便把此生埋在鴆毒中矣。
耳中、常に耳に逆うの言を聞き、心中、常に心に払るの事有らば、纔かに是れ徳に進み行いを修むるの砥石なるのみ。
若し、言々耳を悦ばし、事々心に快くば、便ち此の生を把りて鴆毒の中に埋在せん。
耳中、常に耳に逆うの言を聞き、心中、常に心に払るの事有らば、纔かに是れ徳に進み行いを修むるの砥石なるのみ。
若し、言々耳を悦ばし、事々心に快くば、便ち此の生を把りて鴆毒の中に埋在せん。
→【原文ルビ訓読】菜根譚 前集 006-010
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