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Friday, 15 November 2019

【原文ルビ訓読】菜根譚 前集 016-020


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菜根譚 
前集 011-015

16
寵利毋居人前、徳業毋落人後。
受享毋踰分外、修為毋減分中。

寵利は人の前に居ること毋れ、
徳業は人の後に落つること毋れ。
受享は分の外に踰ゆること毋れ、
修為は分の中に減ずること毋れ。

寵利(ちょうり)(ひと)(まえ)()ること(なか)れ、
徳業(とくぎょう)(ひと)(うしろ)()つること(なか)れ。
受享(じゅきょう)(ぶん)(そと)()ゆること(なか)れ、
修為(しゅうい)(ぶん)(うち)(げん)ずること(なか)れ。

17
処世譲一歩為高。退歩即進歩的張本。
待人寛一分是福。利人実利己的根基。

世に処るには、一歩を譲るを高しとなす。
歩を退くるは、即ち歩を進むるの張本なり。
人を待つには、一分を寛くにするは是れ福なり。
人を利するは、実に己を利するの根基なり。

()()るには、一歩(いっぽ)(ゆず)るを(たか)しとなす。
()退(しりぞ)くるは、(すなわ)()(すす)むるの張本(ちょうほん)なり。
(ひと)()つには、一分(いちぶん)(ひろ)くにするは()(さいわい)なり。
(ひと)()するは、(じつ)(おのれ)()するの根基(こんき)なり。

18
蓋世功労、当不得一個矜字。
弥天罪過、当不得一個悔字。

世を蓋うの功労も、一個の矜の字には当え得ず。
天に弥るの罪過も、一個の悔の字には当え得ず。

()(おお)うの功労(こうろう)も、一個(いっこ)(きょう)()には()()ず。
(てん)(わた)るの罪過(ざいか)も、一個(いっこ)(かい)()には()()ず。

19
完名美節、不宜独任。
分些与人、可以遠害全身。
辱行汚名、不宜全推。
引些帰己、可以韜光養徳。

完名美節は、宜しく独りにては任ずべからず。
些かを分ちて人に与うれば、以て害を遠ざけ身を全くすべし。
辱行汚名は、宜しく全くは推すべからず。
些かを引きて己に帰せば、以て光を韜み徳を養うべし。

完名(かんめい)美節(びせつ)は、(よろ)しく(ひと)りにては(にん)ずべからず。
(わず)かを(わか)ちて(ひと)(あた)うれば、(もっ)(がい)(とお)ざけ()(まった)くすべし。
辱行(じょくこう)汚名(おめい)は、(よろ)しく(まった)くは()すべからず。
(わず)かを()きて(おのれ)()せば、(もっ)(ひかり)(つつ)(とく)(やしな)うべし。

20
事事、留個有余不尽的意思、
便造物不能忌我、鬼神不能損我。
若業必求満、巧必求盈者、
不生内変、必召外憂。

事々、個の有余不尽の意思を留めば、
便ち造物も我を忌むこと能わず、
鬼神も我を損うこと能わず。
若し業は必ず満を求め、功は必ず盈を求めば、内変を生ずるにあらずば、必ず外憂を召かん。

事々(じじ)()有余(ゆうよ)不尽(ふじん)意思(いし)(とど)めば、
便(すなわ)造物(ぞうぶつ)(われ)()むこと(あた)わず、鬼神(きじん)(われ)(そこな)うこと(あた)わず。
()し、(ぎょう)(かなら)(まん)(もと)め、(こう)(かなら)(えい)(もと)めば、
内変(ないへん)(しょう)ずるにあらずば、(かなら)外憂(がいゆう)(まね)かん。




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