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Friday, 2 December 2022

【曽鞏】以白山茶寄呉仲庶見貺佳篇依韻和酬

 

北宋・曽鞏

以白山茶寄呉仲庶見佳篇依韻和酬

白山茶(しろつばき)(もっ)呉仲庶(ごちゅうしょ)(おく)らるる佳篇(かへん)()せ、依韻(いいん)和酬(わしゅう)

 

山茶純白是天真 籠封題摘尚新

秀色未饒三谷雪 清香先得五峯春

瓊花散漫情終蕩 玉蕊蕭条跡更塵

遠寄一枝随駅使 欲分芳種更無因

 

山茶純白是天真

山茶(つばき)純白(じゅんぱく) ()天真(てんしん)

籠封題摘尚新

(いんろう)(竹かご) 封題(ふうだい) ()むこと()(あら)たなり

秀色未饒三谷雪

秀色(しゅうしょく) (いま)(ゆたか)かならず 三谷(さんこく)(多くの谷)(ゆき)

清香先得五峯春

清香(せいこう) ()()たり 五峯(ごほう)(多くの峰)(はる)

瓊花散漫情終蕩

瓊花(けいか)(珍しい花) 散漫(さんまん)として (じょう)(つい)(とう)たり

玉蕊蕭条跡更塵

玉蕊(ぎょくずい)(花のしべ) 蕭条(しょうじょう)として (あと)(さら)(じん)たり

遠寄一枝随駅使

(とお)一枝(いっし)()せて 駅使(えきし)(したが)

欲分芳種更無因

芳種(ほうしゅ)()けんと(ほっ)して (さら)(いん)()(すべなし)

 

白山茶(白色のツバキ)

呉仲庶(人名。作者の知人)

(贈られる。「見」は受身)

佳篇(優れた作)

依韻和酬(贈られた詩と同じ韻を使用して応酬する)

純白(混じりけのない白色)

天真(天与の純粋性)

籠(竹かご)

封題(手紙に封をして表書きを書く)

秀色(すぐれた色合い。すぐれた景色)

三谷雪(多くの谷の雪)

清香(清らかな香り)

五峯春(多くの峰の春)

瓊花(珍しい花。貴重な花。揚州の后土廟にあった)

散漫(一面に散らばるさま)

情終蕩(「情」は次句の「跡」と呼応する。「蕩」は蕩尽、なくなる)

玉蕊(花のしべ。花を指す)

蕭条(もの寂しいさま)

跡更塵(瓊花の咲いていた跡が俗塵にまみれる)

欲分(分けようとする)

芳種(花の種)

更無因(まったく~するすべがない)

 

※揚州土廟の「瓊花(けいか)」は、薄い黄色で芳しい香りがした。天下に二本とない樹木で、他に移植しても花は咲かなかったと言われる。

 

【訓読】白山茶を以て呉仲庶のらるる佳篇に寄せ依韻和酬す

山茶の純白 是れ天真

 封題 摘むこと尚お新たなり

秀色 未だ饒かならず 三谷の雪

清香 先ず得たり 五峯の春

瓊花 散漫として 情は終に蕩たり

玉蕊 蕭条として 跡は更に塵たり

遠く一枝を寄せて 駅使に随い

芳種を分けんと欲して 更に因無し

 

【和訳】呉仲庶が贈ってくれた詩に白いツバキを返礼に送り、依韻唱和する

山茶の白さはまさに天から授けられた潔白さ、

竹かごや封題から、花は摘んだばかりであることが分かる。

すぐれた色合いは、多くの谷の雪を集めたより美しく、

清らかな香りは、五峰の春に先駆けて漂ってくる。

瓊花は一面に散り敷き、それを見ては心ついに尽き、

瓊花は散ってもの寂しく、その痕跡はいっそうわびしい。

この花の一枝を送ろうと思い、駅使に託すことにする、

花の種を分け与えようにも、そのすべがない。

 

NHKカルチャーラジオ

漢詩をよむ 2022/10-2023/03

 

Tuesday, 22 November 2022

【蘇轍】毛君恵温柑茘枝二絶 其一

 

北宋・蘇轍

毛君恵温柑茘枝二絶 其一

毛君(もうくん) 温柑(おんかん)茘支(れいし)とを(めぐ)二絶(にぜつ) ()(いち)

 

楚山黄橘弾丸小 未識洞庭三寸柑

不有風流呉越客 誰令千里送江南

 

楚山 黄橘弾丸小

楚山(そざん)黄橘(こうきつ)(黄色い柑橘) 弾丸(だんがん)(しょう)

未識 洞庭三寸柑

(いま)(しら)らず 洞庭(どうてい)三寸(さんずん)(かん)

不有 風流呉越客

風流(ふうりゅう) 呉越(ごえつ)(かく)()らずんば

誰令 千里送江南

(たれ)千里(せんり)をして江南(こうなん)(おく)らしめん

 

毛君(作者の知人、詳細は不詳)

温柑(温州の柑橘)

茘支(果樹のライチ)

楚山(洞庭湖以南の山々)

黄橘(黄色い柑橘)

弾丸小(弾丸のような小ささ)

洞庭(洞庭湖)

三寸柑(直径10cmほどのミカン)

風流呉越客(毛君を指す)

誰令(だれが~させることができようか。反語)

千里(はるか彼方)

送江南(江南の産物として贈る)

 

【訓読】毛君 温柑と茘支とを恵む二絶 其の一

楚山の黄橘 弾丸の小

未だ識らず 洞庭三寸の柑

風流 呉越の客有らずんば

誰か千里をして江南を送らしめん

 

【和訳】毛君が温州のミカンと茘枝とを贈ってくれたのに返礼する二首の絶句 その一

楚の山々の黄色い蜜柑は、弾き弓の弾丸のように小さく、

洞庭湖付近には直径三寸の蜜柑があるとは知らなかった。

風流を解する呉越地方の出身の君がいなければ、

いったい誰がはるか彼方の江南の味を贈って下さるものか。

 

NHKカルチャーラジオ

漢詩をよむ 2022/10-2023/03

 

Sunday, 13 November 2022

【王安石】城東寺菊

 

北宋・王安石

城東寺菊

城東寺(じょうとうじ)(きく)

 

黃花漠漠弄秋暉 無数蜜蜂花上飛

不忍独醒辜爾去 殷懃為折一枝帰

 

黃花漠漠 弄秋暉

黃花(こうか) 漠漠(ばくばく)として秋暉(しゅうき)(秋の日光)(ろう)

無数蜜蜂 花上飛

無数(むすう)蜜蜂(みつばち) 花上(かじょう)()

不忍独醒 辜爾去

(ひと)()めて (なんじ)(そむ)いて()るを(しの)びず

殷懃為折 一枝帰

殷懃(いんぎん)(ていねいに)

(ため)一枝(いっし)()りて(かえ)

 

城東寺(寺の名。詳細不明)

黃花(キク)

漠漠(草木が一面に茂るさま)

秋暉(秋の日の光)

蜜蜂(ミツバチ)

不忍(たえられない)

独醒(自分一人だけが酒に酔わない)

辜爾去(お前、菊花に背いて去る)

慇懃(ていねいに)

 

【訓読】城東寺の菊

黃花 漠漠として秋暉を弄し

無数の蜜蜂 花上に飛ぶ

独り醒めて 爾に辜いて去るを忍びず

殷懃に為に一枝を折りて帰る

 

【和訳】城東寺に咲く菊

黄色い菊の花が茂り、秋の日の光を十分に浴び、

数え切れない蜜蜂が花の上を飛んでいく。

自分一人酒に酔うこともなく、花を愛でずに去るにたえられず、

わが身のために丁寧に一枝を折って帰ることにする。

 

NHKカルチャーラジオ

漢詩をよむ 2022/10-2023/03