Amazon_01

Showing posts with label . Show all posts
Showing posts with label . Show all posts

Friday, 4 November 2022

【儲光羲】田家即事

 

盛唐・儲光羲

田家即事

 

桑柘悠悠 水蘸堤

桑柘(そうしゃ)悠悠(ゆうゆう)として (みず)(つつみ)(ひた)

晚風晴景 不妨犂

晚風(ばんぷう) 晴景(せいけい) ()くを(さまた)げず

 

高機猶織 臥蚕子

(はた)(たか)くして()()る 臥蚕子(がさんし)

下坂飢逢 餉饁妻

(さか)(くだ)れば()えて()う (しょうよう)(つま)

 

杏色満林 羊酪熟

(あんず)(いろ) (はやし)()ち 羊酪(ようらく)(じゅく)

麦浪浮壠 雉媒低

(むぎ)(なみ) (うね)()き 雉媒(ちばい)(ひく)

 

生時楽死 皆由命

生時(せいじ) 楽死(らくし) (みな)(めい)()

事在皇天 志不迷

(こと)皇天(こうてん)()りて (こころざし)(まよ)わず

 

田家(農家)

即事(事に触れて詩を作る)

桑柘(桑畑。「柘」はヤマグワ)

悠悠(のんびり、ゆったりしたさま)

蘸(ひたす)

堤(土手)

犂(すき。からすき、牛に引かせて土を耕す道具)

高機(織機、手機を上下させる)

臥蚕子(繭を吐くようになるカイコ)

餉饁(田畑で働く人に食物を運ぶ)

羊酪(ヒツジの乳製品)

壠(うね。くろ。畑の中の土を盛り上げた箇所)

雉媒(野生のキジを捕獲するための囮のキジ)

生時(生。生きているとき)

楽死(たのしんで死ぬ。死を憂えない。ここでは死をいう)

皇天(天)

 

農家を見て詠む

桑の葉はのんびりと風になびき、水は土手に打ち寄せる。

晴れた天気に夕方の風が吹き、牛に引かせる鋤(すき)の作業もはかどる。

蚕が吐く繭(まゆ)を使って、機(はた)を織る。

腹を空かせて坂を下れば、弁当を運ぶ妻に出会う。

杏の花が林に満ち、羊の乳製品ができあがり、

麦の波が畦(うね)に浮かんで、囮(おとり)の雉(きじ)が低く飛ぶ。

生と死はみな運命の定めによるもの、

天にあるのは自明で、志に迷いはない。

【杜甫】絶句漫興九首 其八

 

絶句漫興九首 其八

盛唐・杜甫

 

舎西柔桑 葉可拈

舎西(しゃせい)柔桑(じゅうそう) ()()むべく

江畔細麦 復繊繊

江畔(こうはん)細麦(さいばく) ()繊繊(せんせん)たり

人生幾何 春已夏

人生(じんせい)幾何(いくばく)ぞ (はる)(すで)(なつ)なり

不放香醪 如蜜甜

()かず香醪(こうろう) (みつ)(ごと)(あま)きを

 

拈(つまみとる)

繊繊(ほっそりしているさま)

放(置く、手放す)

香醪(香りの良いにごり酒)

 

風景を見ての即興 九首 その八

家の西にある柔らかな桑の葉も摘むことができるようになり、

川辺の麦の穂もしなやかに伸びている。

わたしの人生もあとどれほどあるのだろうか、季節はすでに春から夏に移っている。

密のように甘いにごり酒を手放すことはできない。