中唐・元稹
菊花
菊花
秋叢繞舎似陶家 遍繞籬辺日漸斜
不是花中偏愛菊 此花開尽更無花
秋叢繞舎 似陶家
秋叢(秋菊の群れ) 舎を繞ること
陶家(陶淵明の家)に似たり
遍繞籬辺 日漸斜
遍く籬辺を繞りて 日漸く斜めなり
不是花中 偏愛菊
是れ 花中 偏に菊を愛するにあらず
此花開尽 更無花
此の花 開き尽くせば 更に花無し
秋叢(秋季に咲くキクの群れ)
似陶家(東晋の陶淵明の家に似ている)
籬辺(まがきの周辺)
日漸斜(太陽が徐々に傾く)
偏愛菊(ただキクだけを愛す)
更無花(もう花はない)
【訓読】菊花
秋叢 舎を繞ること 陶家に似たり
遍く籬辺を繞りて 日漸く斜めなり
是れ 花中 偏に菊を愛するにあらず
此の花 開き尽くせば 更に花無し
【和訳】菊の花
群れなす菊が取り囲むさまは、まるで陶淵明の家のようだ、
籬の付近をぐるりとめぐれば、日はようやく傾きはじめる。
数ある花の中、菊だけを愛でているわけではない、
この花が散ってしまえば、もはやほかに花もないのだから。
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