中唐・韋応物
喜園中茶生
園中に茶の生ずるを喜ぶ
潔性不可汚
為飲滌塵煩
此物信霊味
本自出山原
聊因理郡余
卒爾植荒園
喜随衆草長
得与幽人言
潔性 不可汚
潔性 汚すべからず
為飲 滌塵煩
飲と為りて 塵煩を滌う
此物 信霊味
此の物 信に霊味にして
本自 出山原
本自 山原より出づ
聊因 理郡余
聊か郡を理むるの余に因り
卒爾 植荒園
卒爾として荒園に植う
喜随 衆草長
衆草に随いて長ずるを喜び
得与 幽人言
幽人と言うを得たり
茶(ツバキ科の常緑低木)
潔性(清らかな性質)
為飲(飲料とする)
塵煩(汚れや煩わしさ)
此物(茶の木を指す)
霊味(霊妙な味わい)
本自(本来。二字で「もと」)
山原(山岳や原野)
理郡余(郡を治めた余暇に)
卒爾(にわかに。思いついて)
荒園(人の手の入らない庭)
衆草長(多くの草が生長する)
幽人(隠者。ここでは作者をいう)
【園中に茶の生ずるを喜ぶ】
潔性 汚すべからず
飲と為りて 塵煩を滌う
此の物 信に霊味にして
本自 山原より出づ
聊か郡を理むるの余に因り
卒爾として荒園に植う
衆草に随いて長ずるを喜び
幽人と言うを得たり
【庭に茶が生長したのを喜ぶ】
茶の清らかさは汚すことはできない、
飲み物として、汚れや煩わしさを洗い流す。
茶はまごうことなく、霊妙な味わいをもたらすが、
本来は丘陵や原野に自生する植物である。
いまかりに州の長官の余暇を利用して、
思いついて、荒れた庭に植えてみた。
他の草と一緒に生長するのを喜び、
私の話し相手になってくれる。
NHKカルチャーラジオ
漢詩をよむ 2022. 4-9
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