盛唐・王維
九月九日、山東の兄弟を憶う
独在異郷為異客 毎逢佳節倍思親
遥知兄弟登高処 遍挿茱萸少一人
独在異郷 為異客
独り異郷に在りて 異客(異郷の旅人)と為り
毎逢佳節 倍思親
佳節に逢う毎に 倍ます親(親族)を思う
遥知兄弟 登高処
遥かに知る 兄弟高きに登る処
遍挿茱萸 少一人
遍く茱萸を挿して 一人を少くを
九月九日(陰暦。重陽の節句)
憶(過去の事柄を思い出す)
山東(函谷関あるいは華山以東の地)
兄弟(作者の兄弟や従弟たち)
異郷(自分の故郷ではない地)
異客(異郷にある旅人)
佳節(めでたい節句)
思親(親族を思う)
処(とき)
遍(残すところなく)
茱萸(カワハジカミ)
少一人(一人だけ欠けている)
【訓読】九月九日、山東の兄弟を憶う
独り異郷に在りて 異客と為り
佳節に逢う毎に 倍ます親を思う
遥かに知る 兄弟高きに登る処
遍く茱萸を挿して 一人を少くを
【和訳】重陽の節句に、山東の兄弟らを思って
わが身一人、他郷に旅人として暮らしている、
めでたい節句を迎えるたびに、ますます肉親を懐かしく思い出す。
遠くにいてもよく分かる、重陽の節句に兄弟らが高い所に登る時、
みな茱萸を挿しながら、いるはずの私が欠けて、
寂しく思っていることが。
NHKカルチャーラジオ
漢詩をよむ 2022/10-2023/03
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