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Friday, 11 November 2022

【韋応物】効陶彭沢

中唐・韋応物

効陶彭沢

陶彭沢(とうほうたく)(なら)

 

霜露悴百草 時菊独姸華

物性有如此 寒暑其奈何

掇英泛濁醪 日入会田家

尽酔茅簷下 一生豈在多

 

霜露 悴百草

霜露(そうろ) 百草(ひゃくそう)(しぼ)むも

時菊 独姸華

時菊(じぎく)(秋のキク) (ひと)姸華(けんか)(美しく華やか)なり

物性 有如此

物性(ぶっせい) ()くの(ごと)()

寒暑 其奈何

寒暑(かんしょ) ()奈何(いかん)せん

掇英 泛濁醪

(はなぶさ)()りて 濁醪(だくろう)(濁り酒)()かべ

日入 会田家

()()りて 田家(でんか)(農家)(かい)

尽酔 茅簷下

(ことごと)()う 茅簷(ぼうえん)(茅葺き)(した)

一生 豈在多

一生(いっしょう) ()()()らん

 

効(模倣する)

陶彭沢(東晋の詩人、陶淵明)

霜露(霜と露)

百草(多くの草花)

時菊(秋季のキク)

姸華(美しく華やか)

物性(物の本性)

寒暑(寒さと暑さ。季節や時間の推移)

其奈何(いったいどうしたらよいのか。疑問)

濁醪(濁り酒)

田家(農家)

茅簷(茅葺きの軒。転じて粗末な家)

豈在多(多くの求めるのに意味はない。反語)

 

【訓読】陶彭沢に効う

霜露 百草悴むも

時菊 独り姸華なり

物性 此くの如く有り

寒暑 其れ奈何せん

英を掇りて 濁醪に泛かべ

日入りて 田家に会す

尽く酔う 茅簷の下

一生 豈に多に在らん

 

【和訳】陶淵明の詩体に倣う

露や霜がおりて、多くの草花が枯れてしまったが、

秋の菊だけが美しく鮮やかに咲いている。

自然の営みは、このようなものであり、

季節や時間の移ろいはどうすることもできない。

菊の花を摘んで、にごり酒にうかべ、

日が沈んでは農家に寄り集う。

茅葺きの屋根の下で、みなで酔い痛感する、

人の一生は、この幸せだけで十分だ。

 

NHKカルチャーラジオ

漢詩をよむ 2022/10- 2023/03

 


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