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Friday, 18 November 2022

【許渾】送宋処士帰山

 

晩唐・許渾

送宋処士帰山

宋処士(そうしょし)(やま)(かえ)るを(おく)

 

売薬修琴帰去遅 山風吹尽桂花枝

世間甲子須臾事 逢著仙人莫看棋

 

売薬修琴 帰去遅

(くすり)()り (こと)(おさ)(琴を修理する) (かえ)()ること(おそ)

山風吹尽 桂花枝

山風(さんぷう) ()()くす 桂花(けいか)(モクセイの花)(えだ)

世間甲子 須臾事

世間(せけん)甲子(こうし)(年月) 須臾(しゅゆ)(一瞬)(こと)

逢著仙人 莫看棋

仙人(せんにん)逢著(ほうちゃく)するも ()(碁)()ること()かれ

 

送(送別する)

宋処士(宋という隠者。「処士」は官に仕えない志の高い人)

帰山(故山に帰る)

売薬(薬を売る。山中で採集した薬草や生薬を売る)

修琴(琴を修理する)

山風(山中に吹く風)

桂花(モクセイの花)

世間(世の中)

甲子(年月)

須臾事(たちまちの出来事)

逢著(出会う)

仙人(仙界の住人)

莫看棋(碁を打つのを看るな)

 

※晋の王質という人物が山中に木を伐採に出かけると、童子が碁を囲んでいるのを見る。一局が終わらないうちに、ふと見ると持ってきた斧の柄が腐っていたという。王質が迷い込んだのが仙人の世界であり、時間の推移がこの世と大きく異なっていることを暗示している。

 

【訓読】宋処士の山に帰るを送る

薬を売り 琴を修め 帰り去ること遅し

山風 吹き尽くす 桂花の枝

世間の甲子 須臾の事

 

【和訳】宋処士が山に帰るのを見送る

薬を売り、琴を修理して、帰山が遅くなった、

山中では風が吹いて、モクセイの花を散らしているだろう。

世間では、月日の経つのがあっという間なので、

仙人に出会い、碁に見とれて時の経過するのを忘れないで欲しい。

 

NHKカルチャーラジオ

漢詩をよむ 2022/10-2023/03

 

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