晩唐・薛濤
酬郭簡州寄柑子
郭簡州の柑子を寄せらるるに酬ゆ
霜規不譲黃金色 円質仍含御史香
何処同声情最異 臨川太守謝家郎
霜規不譲黃金色
霜規(霜降るミカン) 譲らず 黃金の色
円質仍含御史香
円質 仍お含む 御史の香り(高潔な香り)
何処同声情最異
何れの処か 声を同じくして情最も異なる
臨川太守謝家郎
臨川の太守 謝家の郎(南宋の謝霊運)
酬(応酬の詩篇)
郭簡州(簡州刺史、郭という人)
寄柑子(ミカンを送る)
霜規(霜の降る頃のミカン。「規」は円)
不譲(~に劣らない)
円質(丸い形質。ミカン)
仍含(いまでも、やはり含んでいる)
御史香(高潔な香り)
何処(どこ)
同声(名声を同じくする)
情最異(心持ちを異にする)
臨川太守(臨川の長官)
謝家郎(南宋の謝霊運のこと)
【訓読】郭簡州の柑子を寄せらるるに酬ゆ
霜規 譲らず 黃金の色
円質 仍お含む 御史の香り
何れの処か 声を同じくして情最も異なる
臨川の太守 謝家の郎
【和訳】郭簡州刺史殿から蜜柑を送られて
霜の降る頃の蜜柑は、黄金に負けぬ輝きを発し、
丸い形からは今も消えぬ御史殿の高潔な香りが漂う。
貴方様と名声を同じくし、心情を異にするお方はといえば、
臨川の太守であった謝霊運殿でございましょう。
NHKカルチャーラジオ
漢詩をよむ 2022/10-2023/03
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