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Monday, 14 November 2022

【王昌齢】九日登高

盛唐・王昌齢

九日登高

九日(きゅうじつ) (たか)きに(のぼ)

 

青山遠近帯皇州 霽景重陽上北楼

雨歇亭皋仙菊潤 霜飛天苑御梨秋

茱萸挿鬢花宜寿 翡翠横釵舞作愁

謾説陶潜籬下酔 何曽得見此風流

 

青山遠近 帯皇州

青山(せいざん) 遠近(えんきん) 皇州(こうしゅう)(都。長安)()

霽景重陽 上北楼

霽景(せいけい)(晴れた景色) 重陽(ちょうよう) 北楼(ほくろう)(のぼ)

雨歇 亭皋仙菊潤

(あめ)()み 亭皋(ていこう)(水辺の地) 仙菊(せんきく)(うるお)

霜飛 天苑御梨秋

(しも)()び 天苑(てんえん) 御梨(ぎょり)(天子の梨)(あき)

茱萸挿鬢 花宜寿

茱萸(しゅゆ) (びん)()して (はな)(よろ)しく寿(ひさ)しかるべく

翡翠横釵 舞作愁

翡翠(ひすい) ()(かんざし)(よこ)にして ()いて(うれ)いを()

謾説 陶潜籬下酔

()()かれ 陶潜(とうせん)(陶淵明) 籬下(りか)()いを

何曽 得見此風流

(なん)(かつ)て ()風流(ふうりゅう)()るを()んや

 

九日(陰暦9月9日。重陽の節句)

登高(高所に登る。重陽の節句には高所に登る風習があった)

青山(青い山並み)

遠近(遠い所と近い所。あちこち)

皇州(都。長安)

霽景(晴れ渡った景色)

雨歇(降っていた雨が止む)

亭皋(水辺の平地)

仙菊(冷気の中でも凛とした菊花)

天苑(天子の御苑)

御梨(天子の食用に供するナシ)

茱萸挿鬢(重陽の節句にはカワハジカミを髪に挟んで災厄を祓った)

宜寿(花が長寿をもたらす)

翡翠(緑色の宝石)

謾説(~を言うな。いい加減なことを言うな)

陶潜(東晋の詩人、陶淵明)

籬下酔(籬付近での酔態。陶淵明の詩にある)

何曽(今までに~したことはない。反語)

風流(風雅。放逸)

 

【訓読】九日 高きに登る

青山 遠近 皇州に帯び

霽景 重陽 北楼に上る

雨は歇み 亭皋 仙菊潤い

霜は飛び 天苑 御梨の秋

茱萸 鬢に挿して 花宜しく寿しかるべく

翡翠 釵を横にして 舞いて愁いを作す

説く謾かれ 陶潜 籬下の酔いを

何ぞ曽て 此の風流を見るを得んや

 

【和訳】九月九日、高所に登る

周囲の山並みは都へと連なり、

重陽の節句に、晴れた空のもと北楼に登る。

降っていた雨が止み、沢の堤に生える菊が雨に潤い、

霜が降りて、御苑の梨が収穫される秋の季節。

茱萸を鬢に挿せば災厄を祓い、花は長寿をもたらし、

翡翠の簪(かんざし)を傾けながら舞えば、見る者を悩ませる。

東晋の陶淵明が籬のもとで酒に酔ったなどと言わないでくれ、

この風流ぶりを見ることはできなかったのだから。

 

NHKカルチャーラジオ

漢詩をよむ 2022/10-2023/03

  

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