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Monday, 7 November 2022

【皇甫曽】送陸鴻漸山人採茶回

 

中唐・皇甫曽

送陸鴻漸山人採茶回

陸鴻漸(りくこうぜん) 山人(さんじん)(ちゃ)()りて(かえ)るを(おく)

 

千峰待逋客,香茗復叢生。

採摘知深処,烟霞羨独行。

幽期山寺遠,野飯石泉清。

寂寂燃灯夜,相思一磬声。

 

千峰 待逋客

千峰(せんぽう) 逋客(ほかく)()

香茗 復叢生

香茗(こうめい) ()叢生(そうせい)

採摘 知深処

採摘(さいてき) (ふか)(ところ)()

烟霞 羨独行

烟霞(えんか) (ひと)()くを(うらや)

幽期 山寺遠

幽期(ゆうき) 山寺(やまでら)(とお)

野飯 石泉清

野飯(やはん) 石泉(せきせん)(きよ)

寂寂 燃灯夜

寂寂(せきせき)として (あか)りを()やす(よる)

相思 一磬声

(あい)(おも)う 一磬(いっけい)(こえ)

 

陸鴻漸(中唐の文人、陸羽。鴻漸は字)

山人(世を逃れて山中に暮らす人、隠者)

千峰(多くの峰)

逋客(世を避けて暮らす人、隠士)

香茗(香りの良い茶。「茗」は、茶あるいは茶の芽)

叢生(群がり生える)

採摘(摘み取る)

煙霞(靄や霞)

幽期(隠棲の約束)

野飯(野外での食事)

寂寂(寂しく静かなさま)

相思(~を思う)

一磬声(「磬」の音。「磬」は、「く」の形をした玉や石製の打楽器)

 

【陸鴻漸 山人の茶を採りて回るを送る】

 

千峰 逋客を待ち

香茗 復た叢生す

採摘 深き処を知り

烟霞 独り行くを羨む

幽期 山寺遠く

野飯 石泉清し

寂寂として 灯りを燃やす夜

相思う 一磬の声

 

【陸羽山人の茶摘みが終わり帰るのを見送る】

 

多くの峰々は山人の来訪を待ち、

香り高い茶の木がそろって芽を出す。

どこが一番よいかを知り尽くし、

霞たなびく山を一人行くのを羨む。

隠棲の約束をした山寺は遠くにあり、

石(いわ)ばしる泉の近くで、食事をとる。

ひっそりとして灯りをともす夜、

君への思いをうながすような「磬(けい)」が聞こえてくる。

 

NHKカルチャーラジオ

漢詩をよむ 2022. 4-9

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