中唐・竇鞏
訪隠者不遇
隠者を訪ねて遇わず
籬外涓涓㵎水流 槿花半照夕陽収
欲題名字知相訪 又恐芭蕉不耐秋
籬外涓涓 㵎水流
籬外 涓涓として 㵎水(谷川)流れ
槿花半照 夕陽収
槿花(ムクゲの花) 半ば照らして 夕陽収まる
欲題名字 知相訪
名字を題して 相訪ねしを知らしめんと欲するも
又恐芭蕉 不耐秋
又た恐る 芭蕉の秋に耐えざらんことを
隠者(世との交わりを避けて暮らす人)
籬外(生け垣の外)
涓涓(水の流れるさま)
㵎水流(谷川が流れる)
槿花(ムクゲの花。朝開き夕方にしぼむ)
夕陽(夕日)
題名字(名前を記す)
知相訪(来たことを知らせる)
芭蕉(バショウ。葉が大きく書写用に使われた)
不耐秋(秋に耐えられない)
※隠者を尋ねたが、留守であったが、作者はむしろそれに興味をおぼえて作詞している。このような「不成就の興趣」は詩人の関心を引いたようだ。
【訓読】隠者を訪ねて遇わず
籬外 涓涓として 㵎水流れ
槿花 半ば照らして 夕陽収まる
名字を題して 相訪ねしを知らしめんと欲するも
又た恐る 芭蕉の秋に耐えざらんことを
【和訳】隠者を尋ねたが会えずに帰る
生け垣の外を谷川がさらさら流れ、
槿(むくげ)の花の半ばを照らして、夕日が沈む。
来訪を告げようと、名前を記そうとしたが、
芭蕉の葉は秋の寒さに耐えられずに散ると思って止めた。
NHKカルチャーラジオ
漢詩をよむ 2022/10-2023/03
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