天宝宮人
題洛苑梧葉上
洛苑の梧葉の上に題す
旧寵悲秋扇 新恩寄早春
聊題一片葉 将寄接流人
旧寵悲秋扇
旧寵(昔の寵愛) 秋扇(不要となった扇)を悲しみ
新恩寄早春
新恩(新たな愛情) 早春(若い女性)に寄す
聊題一片葉
聊か題す 一片の葉
将寄接流人
将に流れに接する人に寄せんとす
天宝宮人(不詳。洛陽城中の宮女)
題(詩を作る)
洛苑(洛陽城の宮殿にある庭園)
梧葉上(アオギリの葉上)
旧寵(昔の寵愛)
秋扇(不要となった扇。顧みられないもの)
新恩(新たな愛情)
寄早春(若い女性にあたえられる)
聊題(試みに詩を作る)
一片葉(ひとひらのアオギリの葉)
将寄(送ろうとする)
接流人(御溝の流れ沿いにいる人。葉を拾い得る人)
※アオギリの大きな葉は紙の代用とされた。
※城外との交通が自由でない宮女にとって、水に流すアオギリの葉は、思いを託す唯一の手段であった。
【訓読】洛苑の梧葉の上に題す
旧寵 秋扇を悲しみ
新恩 早春に寄す
聊か題す 一片の葉
将に流れに接する人に寄せんとす
【和訳】洛陽の御苑にて梧桐の葉に詩を書く
昔の寵愛は、まるで秋の扇のようであり、
新たな寵愛は、早春のめぐり合わせのようだ。
試みにアオギリの葉に思いを託す詩を書きとめて、
御溝(ぎょこう)に接するお方に届けたく思う。
NHKカルチャーラジオ
漢詩をよむ 2022/10-2023/03
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