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Sunday, 13 November 2022

【岑参】行軍九日思長安故園

 

盛唐・岑参

行軍九日思長安故園

行軍(こうぐん)にて九日(きゅうじつ) 長安(ちょうあん)故園(こえん)(おも)

 

強欲登高去 無人送酒来

遙憐故園菊 応傍戦場開

 

強欲 登高去

()いて(たか)きに(のぼ)()らんと(ほっ)するも

無人 送酒来

(ひと)(さけ)(おく)りて()たる()

遙憐 故園菊

(はる)かに(あわれ)む  故園(こえん)(故郷)(きく)

応傍 戦場開

(まさ)戦場(せんじょう)()いて(ひら)なるべし

 

行軍(軍隊が駐屯地を目指して行く)

九日(陰暦9月9日。重陽の節句)

思長安(故郷の長安を思う)

故園(ふるさと)

強欲(無理に~をしようとする)

登高去(高所に登る)

遥憐(遠くから同情する)

 

※重陽の節句には、高所に登り、遠くを望み見て、菊酒を飲む風習があった。

※陶淵明は重陽の節句の折、酒を切らしていた。キクが群生する中にしばらく座していると、白衣の人が酒を持って来てくれた、という逸話が伝わる(『芸文類聚』)。

 

【訓読】行軍にて九日 長安の故園を思う

強いて高きに登り去らんと欲するも

人の酒を送りて来たる無し

遙かに憐む  故園の菊

応に戦場に傍いて開くなるべし

 

【和訳】陣営にて九月九日、長安の故郷を懐かしむ

軍中にあって重陽の節句を祝おうと高所に登ろうと思うが、

陶淵明のように、酒を送ってくれる人もいない。

遠く悲しむ、手ずから植えた菊の花は、

今は戦場となった都で花咲いていることだろう。

 

NHKカルチャーラジオ

漢詩をよむ 2022/10-2023/03

 

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