盛唐・岑参
行軍九日思長安故園
行軍にて九日 長安の故園を思う
強欲登高去 無人送酒来
遙憐故園菊 応傍戦場開
強欲 登高去
強いて高きに登り去らんと欲するも
無人 送酒来
人の酒を送りて来たる無し
遙憐 故園菊
遙かに憐む 故園(故郷)の菊
応傍 戦場開
応に戦場に傍いて開くなるべし
行軍(軍隊が駐屯地を目指して行く)
九日(陰暦9月9日。重陽の節句)
思長安(故郷の長安を思う)
故園(ふるさと)
強欲(無理に~をしようとする)
登高去(高所に登る)
遥憐(遠くから同情する)
※重陽の節句には、高所に登り、遠くを望み見て、菊酒を飲む風習があった。
※陶淵明は重陽の節句の折、酒を切らしていた。キクが群生する中にしばらく座していると、白衣の人が酒を持って来てくれた、という逸話が伝わる(『芸文類聚』)。
【訓読】行軍にて九日 長安の故園を思う
強いて高きに登り去らんと欲するも
人の酒を送りて来たる無し
遙かに憐む 故園の菊
応に戦場に傍いて開くなるべし
【和訳】陣営にて九月九日、長安の故郷を懐かしむ
軍中にあって重陽の節句を祝おうと高所に登ろうと思うが、
陶淵明のように、酒を送ってくれる人もいない。
遠く悲しむ、手ずから植えた菊の花は、
今は戦場となった都で花咲いていることだろう。
NHKカルチャーラジオ
漢詩をよむ 2022/10-2023/03
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